包丁研ぎをしていると、お客様からこのようなご相談を受けることがあります。
「新品で買ったばかりなのに、思ったより切れない」 「高価なものだったのに、なんだか普通…」
せっかく奮発して買ったのに……とがっかりされるかもしれませんが、実はその違和感、「刃物を見る目が正しい」という証拠です。本来のポテンシャルを引き出す「研ぎ(本刃付け)」さえすれば、その不満は一発で解決します。
実は、そうした違和感から「高かったのに使いにくいから…」と、使うのを諦めて引き出しの奥にしまい込んでしまっている方が、当店のお客様のなかにも多数いらっしゃいます。
しかし、決して不良品でも、損をしてしまったわけでもありません。
当店では、研ぎの間にお使いいただく代替用の「レンタル包丁」をお貸ししているのですが、ご返却時に多くの方がこう驚かれます。
「貸してもらった包丁、すごくよく切れました!」 「軽くて使いやすいし、これで十分ですね(笑)」
そこで、「ちなみにその包丁、100円ショップのものです」とお伝えすると、皆さん一様に目を丸くされます。
もちろん、高級包丁が劣っているわけではありません。良い包丁は、鋼材の質、熱処理(硬度)、刃持ちの良さ、重量バランスなど、素材や基本構造が非常に優秀です。
ではなぜ、新品なのに切れ味が「普通」に感じてしまうのでしょうか。
その理由は、工場出荷時の「刃付けの角度」にあります。 メーカーは、配送中の衝撃による刃欠けを防ぐため、また、最初から鋭利すぎて不意の怪我や刃こぼれが起きないよう、あえて少し厚みを持たせた「マイルドな刃(標準刃付け)」で出荷することが多いのです。つまり、安全と耐久性を考慮したメーカー側の配慮であり、いわば「本来の性能をあえて少し眠らせてある状態」なのです。
一方で、安価な包丁であっても、刃先を適切な角度に整え、砥石で丁寧に仕上げる(=本刃付けをする)ことで、一時的に驚くほどの切れ味を発揮します。
ですが、本当の感動はここからです。
安価な包丁が「研いだ直後が切れ味のピーク」だとしたら、優れた鋼材で作られた高級包丁は「感動するほどの切れ味が、驚くほど長く続く(刃持ちが良い)」という圧倒的な強みを持っています。
実際、当店で高級包丁をしっかりと研ぎ直した後は、さっきまでの「100円包丁の感動」はどこへやら……(笑)。
高級包丁に本刃を付けたときの圧倒的な切れ味の鋭さと滑らかさは、レンタル包丁の感動を一瞬で吹き飛ばしてしまうほど次元が違います。
適切な刃付けをして初めて、その高いポテンシャルと本当の価値が目を覚ますのです。
包丁は、「お値段」だけでなく、「最後の刃付け」で本来の輝きを放つ道具と言えます。
新品の包丁を研ぎ直したお客様からは、「最初からこの切れ味だと思っていました!」「本当の性能はこれだったんですね」と、感動のお声をたくさんいただいております。
もし、新しく迎えた包丁の切れ味に「あれ?」と違和感を抱えていたり、「もったいないけれど、切れないから…」と諦めて眠らせてしまっている包丁がお手元にありましたら、ぜひ一度「研ぎ小屋キレット」へお持込みください。
職人の手でしっかりと「本刃(ほんば)」を付け、その包丁が持つ本来の素晴らしい切れ味と長切れの性能を呼び覚まします。
丁寧にお手伝いさせていただきますので、どうぞお気軽にご相談ください。
東京・西荻窪店 伊勢
